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2026.01.22 ブログ

【大人の方へ】抜歯しかないと言われた歯は本当に残せない?歯科医師が解説する判断基準

「この歯は抜いたほうがいいですね」「この歯は抜くしかありませんね」

突然そう言われて、頭が真っ白になった経験はありませんか?
今まで何ともなかったのに…確かに痛いけどまさか抜歯しかないと言われるとは思っていなかった…そんな不安や戸惑いを抱えたまま、医院を後にされた方も少なくありません。

ですが、本当にその歯は残すことができない歯なのでしょうか?
実は「抜歯」と診断される歯の中にも、条件次第で残せる可能性があるケースが存在します。

このブログでは、
「なぜ抜歯と言われるのか」
「どんな場合なら歯を残せる可能性があるのか」
を、歯科医師の視点からわかりやすく解説していきます。


抜歯の基準は歯医者によって違う?

抜歯の基準に関しては、歯科医院によって様々だというのが正直な回答だと思います。ではなぜ、歯科医院によって違うのでしょうか。

それは

  • 治療の知識の違い
  • 治療の技術の違い
  • 使用する器具機材の違い

などが考えられます。

抜歯宣告される歯は重度の『虫歯』もしくは『歯周病』になっている可能性が非常に高いです。状態の悪い歯を治療するには、それに応じた専門的な知識技術設備が必要となるのです。


抜歯宣告の理由と残すための治療とは?

虫歯で抜歯と言われた方

虫歯で抜歯と言われる場合3つの状態が考えられます。

  1. 根が膿んで抜歯と言われる場合
  2. 残っている歯が小さくなりすぎて抜歯と言われる場合
  3. 1と2の両方が起こっている場合

1.根が膿んで抜歯と言われた場合

歯の根に炎症や膿がたまっている場合、一般的には「根管治療(こんかんちりょう)」という治療を行います。しかし、感染の状態が強い場合や、歯の状態によっては、抜歯を検討せざるを得ないと判断されることもあります。

根管治療は多くの歯科医院で行われている治療ですが、実際には非常に繊細で難易度の高い処置です。
そのため当院にも、
「他院で抜歯と言われた」
「歯を残すのは難しいと言われた」
というご相談で、セカンドオピニオンとして来院される方が少なくありません。

以下は、他院で抜歯と診断された歯に対し、精査の結果、根管治療を選択し保存を試みた症例です。
※すべての症例で同様の結果が得られるわけではありません。

また、根管治療には、「外科的歯内療法」という選択肢もあります。
これは、通常のように歯の中から行う根管治療だけでは十分な改善が得られない場合に、歯ぐきを開いて直接病変を取り除いたり、一度歯を抜歯し口腔外で歯根に付着した感染源を取り除き再度植え直したりする外科的な治療法です。

歯の状態や感染の広がり方によっては、このような外科的治療まで含めて検討することで、歯の保存を目指せる場合もあります。

ただし、虫歯が非常に深く進行している場合や、外科的処置を行っても予後が良くないと判断される場合には、抜歯を選択せざるを得ないこともあります。

当院では、症状の強さ、レントゲンの状態、歯の同様の程度など複数の診査結果から治療により歯を残せるかどうか判断し、患者さんと相談した上で治療を進めています。

2.残っている歯が小さくなりすぎて抜歯と言われる場合

虫歯が進行し、歯が大きく失われてしまうと、
「歯が小さくなりすぎているため抜歯が必要です」
と診断されることがあります。

これは、被せ物(差し歯)を安定して装着できない状態になっているためです。

このような場合でも

  • 歯冠長延長術
  • 部分矯正(歯根挺出術)

といった処置を行うことで、条件によっては歯の保存を目指せるケースがあります
以下で、それぞれの治療がなぜ必要なのかを解説します。

歯冠長延長術とは

部分矯正(歯根挺出術)とは

なぜそのままだと抜歯になるのか

歯が虫歯によって小さくなり、歯ぐきの中に埋もれてしまうと、

  • 被せ物を十分に固定できない
  • 差し歯が外れやすくなる
  • 噛む力に耐えられず、歯の根が折れてしまう

といったトラブルが起こりやすくなります。

そのため、そのままでは長期的に安定した治療が難しいと判断され、抜歯が選択されることが多いのです。

歯冠長延長術や部分矯正(歯根挺出術)は、
被せ物を安定させるために、歯ぐきの上に十分な歯の高さを確保することを目的とした治療です。

当院でもこれらの処置を組み合わせることで、条件が整えば、歯を残せる可能性が生まれる場合があります。(※ただし、虫歯があまりにも深く進行している場合など、すべての症例で保存できるわけではありません。)また処置には外科処置を伴うこともあるため、当院では術前に健康状態、お薬の服用の有無なども確認し、安全に処置に臨めるようにしております。

虫歯で抜歯が適応と判断される条件

次のような場合には、歯を残すための治療を行っても、長期的に良好な結果が期待できないと判断され、抜歯を選択せざるを得ないことがあります。

  • 根管治療や外科的歯内療法を行っても、痛みや腫れが改善せず、感染の進行が抑えられない場合
  • 歯の残っている部分が非常に短く、歯冠長延長術や部分矯正(歯根挺出術)を行うことが難しい場合
  • 歯の根にヒビが入っている、あるいはすでに歯根が割れている場合

これらのケースでは、無理に保存を試みることで、症状の悪化や再治療を繰り返してしまう可能性があります。

そのため、根管治療や歯冠長延長術、部分矯正(歯根挺出術)によって保存が可能かどうかは、
レントゲンやCT検査、口腔内の状態を総合的に確認した上で、慎重に診査・診断することが重要です。

なぜか被せ物がよく外れるそんなお悩みはありませんか?

重要なキーワード 『フェルール』 とは

前提として、フェルールとは

被せ物(クラウン)が、歯の根の健康な歯質を“筒状に抱え込む”構造 のことです。

一般的に

  • 歯肉より上に1.5〜2.0mm以上の健全歯質
    が周囲に連続して存在することが、長期予後に重要とされています。

『被せ物がよく外れる』それは実は歯の状態が被せ物を被せるための状態(フェルール)が揃っていない、もしくはすでに抜歯適応の状態である可能性があります。上記で示した、歯冠長延長術/部分矯正(歯根挺出術)を行うことで、適切なフェルールを獲得することは、文献的にも被せ物を外れにくくできる可能性があります。(※重度すぎる虫歯の場合は、保存できない場合があります)

ただし、フェルールを確保する治療がすべての歯に適応できるわけではなく、歯の状態によっては抜歯が最善となる場合もあります。

歯周病で抜歯と言われた方

歯周病は歯を支える骨(歯槽骨)が溶ける病気です。

歯周病は進行すると、治療が難しい病気です。特に歯を支える骨が重度になくなっている場合は、治療で改善を行う事が非常に難しいです。

歯周病の場合は、重症化する前にしっかりと予防する初期〜中程度の時点で治療を行うなどの必要があります。

歯周病が重症化した場合に行う処置には

  1. 歯周外科処置
  2. 歯周組織再生療法
  3. 連結補綴治療

の3つの治療があります。

1.歯周外科処置

歯周外科処置とは・・・歯周病が進行し、深い歯周ポケットの形成や歯肉縁下に歯石が沈着した場合に、歯周病の原因である歯石の除去炎症性の歯肉を除去する目的で行う治療

歯周外科処置を行う事で、歯周病の原因物質の除去を行い、歯周病の重症化を防ぐことができる場合があります。(※ただし、治療によって病状が改善しない場合もあります)

2.歯周組織再生療法

歯周組織再生療法とは・・・歯周病が進行すると、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けます。骨が溶けると、歯は土台となる基礎を失い、揺れたり、歯が自然に抜けたりすることもあります。そんな、歯を支える骨(歯槽骨)再生させ、歯の土台となる基礎を再生させる目的で行う治療

歯周組織再生療法を行うことで、一度溶けた骨を再生し、歯の寿命を伸ばす事ができる可能性があります。(※ただし、治療によって病状が改善しない場合もあります)

3.連結補綴治療

連結補綴治療とは・・・歯周病が進行すると、歯は歯槽骨を失い、揺れます。揺れを放置すると、骨の吸収は進行したり、噛めない、喋りにくいなどのQOLの低下を引き起こします。そのため、残っている歯を被せ物などで連結することで、固定し、延命する治療

連結補綴治療を行うことで、歯の揺れを軽減させることができ、歯の寿命を伸ばす事ができる可能性があります。(※ただし、治療によって病状が改善しない場合も多々あります)


歯の破折は基本的に抜歯適応になることが多い

これまで解説してきた『虫歯』『歯周病』に関しては、治療を行うことで、延命できる可能性はありました。しかし、歯の破折は、より多くの場合で抜歯適応となります。

なぜ、歯の破折は抜歯適応になりやすいのか?

  1. 破折した歯をくっつける事が現状の医療では困難だから
  2. 破折部位から細菌感染が起こりやすく、状態が悪くなりやすいから
  3. 痛みや腫れが繰り返し起こる事が多いから

歯の破折はこれらの理由から、治療を行っても経過が良くならない、状態が悪化する場合が多く、抜歯となる事が多いのです。


『抜歯』と言われたらどうしたら良い?

医療は、患者さんと医療者との信頼関係の上に成り立つものだと私たちは考えています。
どの歯科医院を選ぶかに、必ずしも「唯一の正解」があるわけではありません。

大切なのは、
今の歯の状態や治療の選択肢について、十分な説明があるかどうか
そして、その説明にご自身が納得できるかどうかです。
その上で、治療を受けるかどうかを判断することが重要だと思います。

当院では、レントゲンやCT、口腔内の状態、痛みの有無などを総合的に確認し、
できるだけ分かりやすいように、画像を用いながら丁寧にご説明することを心がけています。

「抜歯と言われたけれど、本当にそれしか方法はないのか」
「自分の歯を残せる可能性があるのか」
といった不安や疑問がある方は、セカンドオピニオンとしてのご相談でも構いません
どうぞお気軽にご相談ください。


まとめ|「抜歯」と言われても、選択肢は一つではありません

「この歯は抜歯しかない」と言われた場合でも、
歯の状態や治療環境によっては、歯を残せる可能性があるケースがあります。

抜歯と判断される主な理由には、

  • 虫歯による感染(根の膿)
  • 歯が大きく失われている状態
  • 歯周病の進行
  • 歯の破折

などがあり、それぞれに対して
根管治療・外科的歯内療法・歯冠長延長術・部分矯正・歯周外科治療など、
保存を目指すための治療法が検討できる場合もあります。

一方で、

  • 感染が制御できない場合
  • 歯を支える条件が整わない場合
  • 歯の根が割れている場合

には、無理に残すことでかえって状態が悪化することもあり、抜歯が最善となることもあります。

大切なのは、
「必ず残す」「必ず抜く」と決めつけることではなく、
現在の歯の状態を正確に診断し、十分な説明を受けた上で、ご自身が納得して治療を選ぶことです。

抜歯と言われて不安を感じている方、
他に方法がないのか一度相談してみたい方は、
セカンドオピニオンとしてのご相談も含め、どうぞお気軽にご相談ください。


当院は2026年8月に金沢市横川にて歯科医院を新規開業します。

赤ちゃんからお年寄りまで、幅広い世代の方に健康を届けられるように準備しております。

金澤リッツおとな・こども歯科